昆布の話
昆布の産地と種類
日本の昆布の約90%は北海道全域で、その他は 東北(青森県、岩手県、宮城県)の三陸海岸沿いで採れ、 場所によって、採れる昆布の種類が違います。
■ 真昆布(まこんぶ)
厚みがあり、幅が広く、昆布の最上級品です。上品な甘みのあるだしがとれ、最上おぼろ昆布、結納品の飾りなどにも使われます。
当社の人気No.1商品「松福」もこの昆布を使用しております。
■ 羅臼昆布(らうすこんぶ)
真昆布と並ぶ高級品です。味も香りも良く、コクのあるだしが取れます。
うま味があるのでだし昆布のほか、酢昆布や昆布菓子に使われています。
■ 利尻昆布(りしりこんぶ)
真昆布と比べて固いですが、透明で塩味がきいた風味の良いだしがとれます。
薄味の京風料理やお吸い物に使用されています。
■ 日高昆布(ひだかこんぶ)
味がよく、煮えやすくて柔らかいので、一般家庭向きのだし昆布として使われています。
昆布巻や佃煮、塩吹昆布などにも使用されています。
■ 長昆布(ながこんぶ)
長さが6~15mにもなり、生産量は最も多い種類です。
だし昆布には向きませんが、昆布巻や、おでん昆布、佃煮などの加工品に使われます。
■ 厚葉昆布(あつばこんぶ)
長昆布とほぼ同じ地域に生息しています。幅が広く肉厚で、長昆布のように昆布巻や佃煮に使われています。
■ 細目昆布(ほそめこんぶ)
葉が細めで、1年目に採取されます。
色は黒色をしていますが、切り口が白いので、とろろ昆布や佃煮などに使われます。
昆布の話
昆布が旅した「昆布ロード」
昆布は宮城県以北の寒い海でしか採れないので、他の地方へ昆布がもたらされるには、北から南西への輸送ルートが形成されます。
昔は陸路がなく、あったとしても、とても危険でした。
このため、古くから海路が発達しました。海路が開けていたのは日本海側で、太平洋側は波が高く、航路が開かれたのは江戸時代に入ってからです。
最初のコンブロードは北海道から北陸への日本海側の航路です。
鎌倉中期以降には、昆布の交易船が北海道の松前と本州の間を、盛んに行き交うようになり、昆布が庶民の口に入るようになったのは、そのころからです。
北陸から大坂までは陸路で運ばれていました(鯖街道)。
海上交通がさかんになった江戸時代には、北前船(きたまえぶね)を使い、下関から瀬戸内海を通る西廻り航路で、直接、商業の中心地である「天下の台所」大阪まで運ばれるようになりました。
この昆布を運んだ航路の総称を「昆布ロード」と言います。
昆布ロードは江戸、九州、琉球王国(沖縄県)、清(中国)へとのびていきました。特に、琉球王国は薩摩藩(鹿児島県)と清との昆布貿易の中継地として、重要な役割を果たしていました。
昆布のルーツ
縄文時代の末期、中国の江南地方から船上生活をしながら日本にやって来た人々が、昆布を食用としたり、大陸との交易や支配者への献上品としていたのではないかと言われています。
昆布という名の由来は、アイヌ人がコンプと呼び、これが中国に入って、再び外来語として日本に逆輸入されたという説、昆布を「広布(ヒロメ)」と書くことから音読みでコンブとなったという説などがあります。
昆布を食用とした起源については、『続日本紀(しょくにほんぎ)』(797、史書)に蝦夷(アイヌの民族)の長が天皇に代々昆布を献上していたことが記されています。
日本の先住民族と思われるアイヌの人々はかなり古くから昆布についている塩を食用としていたようです。